FIRST PRIZE
The Common Thread
Category : GENERAL
By Amir Zobel and Itay Blumenthal (イスラエル)
アミール・ゾベル(Amir Zobel)
エルサレムの工業デザイナー、ベツァルエル美術デザイン学院(Bezalel Academy of Arts and Design)で工業デザインの学士号と修士号を取得。過去6年間、ベツァルエル修士課程のワークショップとハンセンハウスのFab-Labを管理。 過去10年間、独立したデザイナーおよび多領域にわたるクリエーターとして活躍。
イタイ・ブルーメンタール(Itay Blumenthal)
エルサレムのアルゴリズム開発者で、ヘブライ大学で数学の学士号とコンピューター科学の修士号を、テルアビブ大学で哲学の修士号を取得。 過去7年間、Mobileye社のアルゴリズム開発を担当。
我ハイエンド画像処理アルゴリズムに基づき、ハッキングされたCNCフライス盤によって実行される高解像度の物理的画像制作メソッドを開発しました。我々はこの方法を用いて社会的かつ人間的側面を持ったプロジェクトを作り、恵まれない労働者と彼らの「職場」の間にポエティックな関係性を再構築ました。
このプロジェクトは当初、「東」をテーマにエルサレムデザインウィーク2019のために制作されました。異なる専門分野(アルゴリズム、3D加工)を組み合わせることができるコンセプトを探していた時に、「ハンセンハウス」とエルサレムの人々に関する物語を紡ぐというアイディアに至りました。
制作には主に5つの段階があります。
1. 収集
最初にエルサレム東部在住のハンセンハウスの従業員7人を撮影しました。私たちは、彼らの毎日の自宅から職場までの距離を測定しました。
2.処理
各写真が二次的にコンピューターで処理され、プロジェクト向けに特別に作成されたアルゴリズムに変換しました。アルゴリズムが写真を分解し、各写真に可能な限り近い画像を作成するため、円の周囲の471ポイントの間に1本の線を引く方法を構成しました。その線は各従業員の家から測定された距離に一致するよう構成されました。
3.コーディング
この結果、ハンセンハウスファブラボのCNCフライス盤のGコード言語に変換された各写真の「ラインレシピ」が作成されました。
4.生産
CNCマシンで、糸を伸ばすための木製のフォームを制作。 マシンでフープをカットし、次に私たちが開発した特別なツールで周囲の等間隔の隙間に471本の釘を固定し曲げました。その後そのマシンでネイル間の糸を引き伸ばし、コードに基づき各従業員の各写真を再現しました。これにより、彼らの家からマシンまでと同じ距離の長さの1本の糸で各従業員の肖像画が作成され、最終的なポートレートを作成しました。
5.ディスプレイ
肖像画はハンセンハウスで展示されました。 エルサレムデザインウィークの間、毎日マシンでポートレートのコピーを作成しました。 それらのコピーは、参加した従業員へ感謝と友情の気持ちを込め寄贈されました。
JUDGES, COMMENTS
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林千晶
株式会社ロフトワーク 代表取締役イスラエル在住のアーティストユニットが「エルサレムデザインウィーク」に向けて作ったものである。起点は、かつてハンセン病の治療院として使われ、今はテクノロジーやデザインを生み出すメディアセンターとして機能している「ハンセンハウス」。そこで働くアラブ人に焦点を当てた。従業員7人の写真に撮り、特殊に開発されたアルゴリズムで、471の円形に分解された軸に分解し、行き来する糸の重なりで表情を浮かび上がらせる。まさに「線のレシピ」だ。
東エルサレムにはアラブ人(あるいはパレスチナ人と呼ぼうか)が多く住む。イスラエルにおけるユダヤ人とアラブ人の葛藤と協調に思いを馳せずにはいられない作品だ。