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Typhoon I

Typhoon I

Category : GENERAL
By Michael Koehle (アメリカ)

作品について

小型の台風によって紙の波が起こり、最終的には紙片でできたレリーフが完成する。紙の波の力は釘や紙片に作用する。

制作の動機

現在、私の作品制作の根幹にあるのは水の研究だ。この研究は気候変動の影響を理解するための代理研究のようなものとなっている。気候変動が我々の生きる環境に与える影響はあまりにも大きく、理解を超えている。しかし、気候変動の根底にある水を研究材料として扱うことで、気候現象がどういったものなのかを実感することができるのではないかと感じた。水の性質について多くのことを学んだ。光の屈折率、水中での光の減衰、蒸発を遅くすることのできる化学物質、どの染料なら完全に水に溶けるかの検証、分子を使った染料を溶かすシミュレーションの方法などだ。水の広大さ、多様性、そしてその不思議を解き明かす作品制作を行うことが、環境への影響がどういったものなのかをより深く知ることにつながると感じている。

制作方法

カスタムソフトウェアを使用して制作を行い、レリーフの縦列をトポグラフィックな横断面に変換した。横断面はグレースケールの色価で表現されている。数千ある紙片は一つ一つグラデーションを意識して印刷されており、レーザーカッターで加工した。紙片は折りたたまれた状態でパネルに接着されている。

仕様

材料(紙、木工ボンド、ウッドパネル) サイズ(60×38×2)重量(約18kg)

JUDGES, COMMENTS

  • 吉泉聡
    TAKT PROJECT 代表
    デザイナー/クリエイティブディレクター

    デジタルファブリケーション、デジタルデータをベースにつくられた作品ですが、フィジカルな強さが際立っている点に強く惹かれました。
    私たちがフィジカルな人間である以上、フィジカルな物が持たらすことができる感覚を無視する事はできないはずです。
    途方もない枚数の紙が積層された迫力ある圧倒的な姿は、気候変動という見えざる自然の力を鮮明に体験化しており、鑑賞者に強く訴えかけます。
    テクノロジーの真新しさが作品の強さと誤読されることなく、テクノロジーを作品の強さの素材として昇華している点に評価が集まりました。