Category : GENERAL
By GRAFFITI BOT (タイ)
ロボットアームが、タイのグラフィティアーティストと一緒にコラボレーションしたらどうなるでしょうか? 私たちは、アートとロボットの関係を再定義することで、クリエイターの未来を考えました。
GRAFFITI BOTは、ロボットアームをアートでどのように使うことができるのか、模索する共同プロジェクトです。
ロボットチームが屋外でプロジェクトを進めるうえで、現場の障害を克服し、ロボットアームにグラフィティアーティストとしての動きを教える必要がありました。このプロジェクトの成果は、アート作品が出来たということだけではありません。外でロボットアームを使うために必要な新しいグラフィティ・スプレーの開発に繋がりましたし、また、デザイン界でロボット技術についての関心を集めることにも成功しました。
https://www.flickr.com/photos/127472541@N05/albums/72157662794607189
Delcamのソフトウェアを使って、グラフィティアーティストのベクターファイルからツールパスを生成し、ABBのロボットアーム(IROC5コントローラ付き ROBOT IBB 2600 M2004)をコントロールしています。
CNCを用いてロボットアーム用のスプレーグリップを作り、機械を移動させた後、キャリブレーション、スプレーの勢いや、壁との距離の調整など、現場での課題を解決するのに1週間かかりました。その後、レーザーカッター(Trotec Speedy 300)で作ったスプレーテンプレートを使い、さらに3日かけて、グラフィティを完成させました。
四方幸子
四方幸子
グラフィティを、地元のグラフィティ・アーティストとロボットアームの共作として実現したプロジェクト。元来非合法的に公共空間で開始された「タギング」としてのグラフィティが、ここではグラフィティ・アーティストとロボティック・アームおよびそれを制御する技術者とのコラボレーションとして展開されている。アーティストの身体性や創造性をロボットで再現する試みは、技術者を屋外の現場に連れ出し、これまでにないコラボレーションを生み出した。それは現在急速な発展を遂げつつあるAI研究や、アートを科学技術を介して再現可能か、という同時代的な問題系を含んでいる。何よりも、生み出されたグラフィティと参加した面々の達成感に満ちた表情が印象に残った。