Category : GENERAL
By Alex Schofield (アメリカ)
素材としてのコーヒーは、これまでコーヒーの成分が入っている単なる入れ物としてしか考えられてきませんでした。その理由は、私たちがコーヒーを植物や豆としてではなく、商品として見ているからではないでしょうか。私たちはコーヒーの出し殼を、単なる廃材としか考えていません。完璧に入れられた一杯のコーヒーについては一生懸命考えますが、そのコーヒーに刻まれた文化、経済、物質、環境フットプリントなどは気にとめません。
2011年の1年の間に、約400万トンのコーヒーが消費され、コーヒーの出し殼が出ました。ニューヨークのエンパイアステートビルに使われるコンクリートに置き換えると、2,100棟も建てられるほどの量にあたります。このことは、私たちがコーヒーの力を理解していないことを示しています。もし、私たちが、コーヒーの力を嗜好品として、文化として、薬として理解したならば、これまでコーヒーの出し殼を再利用する機会を逃し、多くのコーヒーを無駄にしていたことに気がつきます。
私たちは皆、私たちが出すコーヒーの出し殻について責任をもち、コーヒーを使って何かをつくるべきです。今、建築にかかる材料とエネルギーはますます増えており、地球上に残されている既存資源の使用を軽減する代替策を検討しなければなりません。
コーヒーは大量の出し殻を生み出します。私たちはたくさんの資源を使ってつくられたコーヒーの出し殻を、捨てるよりも良い形で活用しなければなりません。このプロジェクトでは、3D粉末プリントとCNCルーターを利用し、出し殻を材料として再利用しています。
またデジタルなモノづくりだけでなく、材料科学と代替の観点から、モノづくりの新しい解釈を通して明らかになった、人間と材料の関係についても研究し、疑問を投げかけています。
コーヒーの出し殻を空間構成ができる素材として考えます。
デジタルファブリケーションは、建築物や構造物をつくる際に、材料の点で自由な選択肢を可能にしました。本作品は、最初にModoを使ってモデリングして構造をつくり、構造となるタイルは、プリントしやすいようにネストしたデータにします。その後、コーヒーの出し殻を使い、旧式のZcorp powder printerで、粉末固着積層方式の3D印刷を行いました。 3Dプリントのために、コーヒーの出し殼を配合した3Dパウダーを新たに調合しました。
AiR Presentation: Alex Schofield from Pier 9 on Vimeo.
Nicolas Lassabe
Nicolas Lassabe
コーヒーはすばらしい素材です。このプロジェクトは(このアワードを主催する)FabCafeにとっても素晴らしいアイデアだと思います。 私が運営するFabLabにはキノコを栽培するためにコーヒーを使うプロジェクトがあります。なので、キノコが育つコーヒーバーをこのプロジェクトで作れると素敵ですね。このプロジェクトはリサイクルの方法と、モノ作りの方法を考えるのにも最適です。素晴らしいプロジェクトです。