Category : GENERAL
By Yeliz Karadayi (アメリカ)
Guided Hand は、"触覚の拡張"を彫刻作りのツールとして使うプロジェクトです。デザイナーとロボットが協力して製作に取り組むことで、単独の作業では不可能だった、新しいアイデアを可能にします。
デジタルと物理的な世界には未だ壁があり、デザインプロセスにも切れ目が生じます。3Dプリントを考えてみると、3Dプリンターは完全なデータがないと動かず、デザイナーによっては、完全なデータを作り上げるまでに多くの時間がとられてしまいます。Guided Handは私の学位論文のプロジェクトで、デザイナーがモデリングする際に、触覚のフィードバックを利用し、より身体を使ってデザインができないか探るプロジェクトです。
このプロジェクトで使うペン型3Dプリンターは、すでに市販されており、デザイン向けというよりも、主に遊び目的の玩具として使用されています。そこで、デザイナーやアーティスト向けには、触覚のフィードバックを与えて動きを制限することで、ペン型3Dプリンターの利点を活かすことができるのではないかと考えました。デザイナーの熟練したものづくりの力を使い、何度もデザインを繰り返し、機能的なプロダクトをつくることができるのです。
「Geomagic Touch」は触覚的なフィードバックを与えるデバイスで、ユーザーの動きを制限することで、触覚を与え、三次元空間の感触を与えるために使用しました。ユーザーは、自由度を維持しながら、精度と効率を与えられることで、3Dペンを使い、より洗練されたものづくりやデザインをすることができます。フリーハンドで行う3Dプリントを、触覚のフィードバックで制御することで、製造プロセスは変わるでしょう。本プロジェクトによって、デザインと製作過程の共存が可能になり、このデジタル時代にデザイナーが失った工芸と身体を使ったデザインがもう一度復活するのです。
http://yelizk.com/projects/guidedhand.html
触覚的なフィードバックを可能にする「Geomagic Touch」と「Samto 3D printing pen」を1つのデバイスとして統合、強化することで、デザインと製作をシームレスに進めることができます。
ユーザーは、カスタムしたソフトウェアにデジタルモデルをアップロードします。ペンの位置は、モデルの内側にも表面にも周囲にもおくことができ、ポイント・スナッピング・グリッド・システムを使って計測して印刷をすることも、フリーハンドで自由に描くこともできます。
また、制作過程を点群データとして記録することも可能で、ユーザーは記録をもとにデジタルモデルを作ったり、3Dプリンターで複製することも出来ます。
田中浩也
田中浩也
触覚デバイスを3Dペンでハックし、バーチャルにモノに触れているような感覚(ガイド)を得ながら、実際に素材を出力して3次元造形を行うという視点は、「フィジカル」と「デジタル」のどちらでもない、両者の混ざり合った新しい世界を感じさせてくれる。創造デバイスとして大変秀逸である。