LooopCan_5minsPresentation.mp4 from Kara Wong on Vimeo.
水不足の地域や経済的に困難な状況にある月経のある人、または持続可能なライフスタイルを目指す月経のある人のためにデザインされた、再利用可能な生理用ナプキンの洗浄キットです。浮力を利用して、洗濯に必要な水の量を減らすことができます。価格は約3ポンドで、寿命は5年です。
月経は時間とコストがかかるものです。人々は平均7年間月経に費やし、生理痛を取り除くためのパナドール錠剤など、月経生活を管理するための製品に約5000~18000ポンドを費やしています。毎月のように発生する月経は利益を生むものでもあり、毎月消費の対象となり、このような経済的負担が重なった結果生理の貧困が引き起こされますが、同時に社会的スティグマや文化的タブーも連想されます。
生理の貧困とは、経済的な制約により、十分な生理用品を入手できない、または買えないことを指します。私たちは、5億人の人々がいまだに生理の貧困状態にあり、これら経済的に弱い立場にあるこれらの人々が、ティッシュペーパー、靴下、新聞、不衛生な服、マットレスの破片、ぼろ布、葉、灰、山羊皮、あるいは牛糞といった自家製の採血用の代用品を使用して生理を管理しているという事実を無視してはなりません。その結果、生殖器や尿路の感染症のリスクが高まり、また血液が漏れることへの恥ずかしさや恐怖、不安と結びついて動けなくなるのです。私は、社会経済的地位、階級、年齢、能力、人種、性別などに関する生理の貧困に苦しむ人々を知ることで、ジェンダー正義の意識を持つようになりました。
急激な気候変動により、少なくとも2,600万人が資源不足から戦争に巻き込まれる恐怖を感じ、国外への避難を余儀なくされています。難民危機は最も深刻な人道的災害の一つであり、女性はこの不安定な旅路の中で、難民キャンプ内で広く蔓延するなジェンダー暴力など、より脆弱な立場におかれています。特に生理の貧困については、生理に関するデータ収集が不十分なため、難民キャンプで見過ごされています。このことは、女性が自由に移動し、教育や水・食料調達などの機会に手を伸ばすのに影響を与えます。さらに月経のある人々は、汚い上安全もない共有トイレではなく、プライバシーはないもののシェルターでナプキンを交換します。プライバシー、安全、安心できる空間、清潔にするための水と石鹸へのアクセスが必要なのです。これら難民のうち、苦労していない少数派は、生理が終わっているか、生理用品を一貫してチャリティーに頼っています。月経のある亡命者もまた、生理用品へのアクセスという点では疎外された集団です。
Looop Canは、水不足の地域で生理の貧困を減らすために、再利用可能な生理用ナプキンを洗浄するためのキットです。女性難民の約6割が生理の貧困に悩まされており、経済的支援は食料品や赤ちゃんのおむつにあてるということが分かっています。その多くは宗教的に厳格な国で、タンポンの挿入をタブー視しています。そこで私は、言葉や文化の壁に阻まれ、経済力のない12歳から24歳までの生理のある人々が、水や衛生、健康における基本的人権が守られることができる製品をデザインしたいと思いました。
Looop Canの使い方としてはまず、使用済みのナプキンを中に入れます。次に、容器内に保存されている重曹を入れ、表示されている位置まで水を加えます。重曹は、血液の汚れを落とすための天然洗剤です。キャップを閉め、スクリュー容器を浸して回転させ、重曹と水を混ぜ合わせます。浮力を利用して洗濯に必要な水を減らし、ジャイロセンサーによる回転機構で人手をかけず、生理痛のある方でも楽に洗濯ができます。生理の血が分解されるまで30分以上待ち、容器で血痕をこすり洗いします。すすぎとこすり洗いを3回繰り返すと、1枚のパッドがわずか500mlの水で洗浄できます。生理血や重曹は堆肥化可能で環境に無害なため、洗った水は自然環境に捨てることができます。
Looop Canは、全く新しいキットをゼロから作るのではなく、スチール缶を再利用しているので、洗浄容器は簡単に交換することができます。最近の食品用スチール缶は、傷やへこみなどのダメージから内容物を守るために、内側に密閉性の高いプラスチックコーティングが施されているものがほとんどです。洗浄部品にはリサイクルPPを使用。インジェクション・モデリングで、洗濯部品とパッドを含めたセットで、合計3ポンド程度です。私のパッドは、接触層にバンブーテリー、吸収層にバンブーフリース、防漏層にPULを使用していますが、これらは防臭、抗菌効果があり、皮膚アレルギーを起こしにくい環境に配慮したデザインです。パッドは室内で半日で乾き、長方形のデザインは、生地の切り落としによる無駄を省きます。
Looop Canは、難民キャンプでの衛生意識向上キャンペーンを推進する足がかりとなります。30分間の月経衛生管理セッションに参加した難民は、Looop Canを2個もらうことができ、正しい使い方を学ぶことができます。また、使用者が夜間にトイレに行くため長距離を移動するリスクを負う必要がないため、ジェンダー暴力を減らすことができます。これは、水と衛生設備へのアクセスにおける男女平等の向上と、人間の尊厳の回復のために戦うためのツールとなるでしょう。特に、ヨルダンやレバノン、エチオピアなどといった水不足の地域で、生理に対する偏見を減らすことができます。いつの日か、胸が張り消そうになる生理の貧困のニュースがこの世界からなくなることを願っています。
Cheuk Laam Wong
London, UK
Cheuk Laam Wong is an award-winning London-based product designer originally from Hong Kong. Her main design philosophy focuses on affordable social design that brings long-lasting positive emotion to vulnerable communities. This led her to a design journey that protects fundamental human rights to water sanitation & health. She is also a keen UX designer who not only designs beautiful interfaces but is passionate about democratising knowledge and bringing incentive to learning.
She graduated from Central Saint Martins with a first-class honour in BA Product Design in 2021, where she developed Looop there for menstruators living in period poverty and suffering financial difficulties. She co-founded Waveee Design with RubyMaky to bring social impacts with multidisciplinary design works after graduation. In Waveee Design, sustainability development serves as a guiding role in decision making about material selection, system service, manufacturing method, and community involvement. It is an honour for Waveee Design to join the journey to end gender misinformation by bringing marginalized people participation in economic activities together through design.