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Public Voice

Creator: Dora Bartilotti / Collaborator: Leonardo Aranda

Public Voice

Description

ラテンアメリカの都市部におけるジェンダー・バイオレンスに対する抗議の声を増幅させようとする参加型アート作品。3つのパートから構成されています。 1つ目はオンライン参加型プラットフォーム(vozpublica.cc)で、個人によるジェンダー・バイオレンスの体験談が匿名のテキストとして共有されます。2つ目は、音声合成装置によってストーリーに「声を与え、増幅させる」電子テキスタイルで、公共空間に物理的な存在感を示します。 そして最後に、「The Textile Rebellion」と名付けられた一連のラボラトリーでは、街頭でのパフォーマティブなアクションを通じて、これらの電子テキスタイルの集団的創造と活性化を図るとともに、和気あいあいとした内省を追求させます。 創造的な活動へのコミットメントにより、Voz Públicaはフェミニストの抗議と闘争の文脈に挿入され、都市に対する我々の権利を回復するための非難と集団要求の形式を取り、「声を上げ、増幅する」メカニズムになることを目指しています。

Concept

Voz Pública (Public Voice)

Public Voiceは、ラテンアメリカの都市部におけるジェンダー暴力の問題を可視化しようとする戦術的調停であり、参加型アート作品である。 このプロジェクトの意図は、いまだに女性やノンバイナリーな当事者を差別する社会、彼らに襲いかかる暴力を見えなくする社会の結果として、中和されたままの声のために「発声および増幅」のメカニズムとして機能することであり、都市に対する権利を取り戻すために、苦情や集団要求となることである。 このプロジェクトは、さまざまな形のマチズモ(性差別)が蔓延し、女性にとって暴力的な状況をもたらしているラテンアメリカの現在の状況下で行われています。メキシコでは、毎日9人の女性が殺害され、3人に2人が何らかの暴力を受けており、そのうち1人は公共の場で暴力を受けた経験があります。この問題に直面し、国による対応やメカニズムが欠如しているため、複数のフェミニスト・イニシアチブとグループが街頭に出て抗議しており、このような状況の中で、このプロジェクトは動いているのです。

 

このプロジェクトは、3つのパートから構成されています。 最初の部分は、オンライン参加・視覚化プラットフォーム(www.vozpublica.cc)で、女性やノンバイナリーの人々が、この問題に関連する個人のストーリーを、テキストと匿名の方法で共有することができるようになっています。これらの投稿のストーリーをまとめたデータベースが作成され、このデータベースは、プロジェクトの他の2つの部分とリンクしています。

プロジェクトの第二部は、ラテンアメリカの織物の伝統、革命的なグラフィック、アーバンアート、フェミニスト運動の抗議スローガンを視覚的、グラフィック的に参照した電子テキスタイルで構成されています。テキスタイルの電子部品は、組み込み型コンピューターシステム、導電性マイクロスピーカーの配列、そして導電性の脅威で構成されています。組み込まれたシステムにはプロジェクトのデータベースが含まれており、それを使って音声合成によりストーリーに声が与えられます。この電子テキスタイルは、公園、広場、道路、公共交通機関など、ジェンダー・バイオレンスの発生率が高い公共空間で作動させます。

第三部は、The textile Rebellionと呼ばれる長期ワークショップ(3〜4週間の集団制作)による一連のラボラトリーで構成されています。これらのラボラトリーは、考察と知識の交換のための和やかな空間であると同時に、もともとテキスタイル作品に使われていた最初のプロトタイプを基に、電子テキスタイルを流用し、集団的に構築することを目的としています。ラボラトリーの最終的な目標は、都市に対する私たちの権利を回復するための要求として、これらのデバイスを活性化する集団行動を生み出すことです。

Credits of the piece

Project by: Dora Bartilotti [Original idea and conceptualization, textile design and production, graphic and web interface design, design and teaching of Laboratories, textile programming and electronics]

Collaborators: Leonardo Aranda [Web and electronic programming]

More information: https://www.dorabartilotti.com/voz-publica/

Dora Bartilotti

Mexico city, Mexico.

Dora Ytzell Bartilotti Bigurra (Veracruz, Mexico, 1988)

 

I´m a Latin american, feminist and multimedia artist from Mexico. Through my projects I seek to generate critical dialogues between art, design, pedagogy and technology in order to catalyze conversations about possible forms of organization, intervention and micropolitical action in public space. I´m part of Medialabmx where I direct the projects Voz Pública and Costurero Electrónico, in which I explores the materiality of textiles and electronics as tactical means for feminist activism and collective action. My work has been featured in Mexico, UK, Canada, Brazil, and Colombia.

JUDGES, COMMENTS

  • 伊藤 亜紗
    東京工業大学科学技術創成研究院未来の人類研究センター長、リベラルアーツ研究教育院教授

     痛みは、本来はそれを感じている体から切り離せないものです。しかしこの作品では、テクノロジーの力によって、痛みが特定の体から切り離され、服という形で、別の人にもまとえるものなっています。すばらしいのは、その結果、「個人の集まりとしての集団によるデモ」ではなく、「他者たちが憑依した個人によるデモ」が可能になっている、という点です。一般的な集団型のデモは、シンプルなスローガンを打ち出すために、ひとりひとりが背負う物語の多様性が消えてしまいがちです。しかしこの「しゃべる服」は、ビジュアルによって強いインパクトを生み出しながらも、パーソナルな物語をそのまま社会にとどける仕組みになっています。デモに立ち会った人が、服の声を聞くために、一対一で近くに寄って耳を傾けている姿も印象的でした。さらに、服を作る過程にもたくさんの人の手が介在しています。声にならない思いまでもが、テキスタイルに込められていることが分かります。そして、参加している人たちが何よりとても楽しそう。内発的な活動を生み出すラボの仕組みも素晴らしいなと思いました。

  • Cascoland
    アーティスト、建築家、デザイナー、パフォーマー ネットワーク

    今年のYouFabコンペに応募された革新的で魅力的な作品の中でも、「Public Voice」は多くの理由で印象に残りました。まず最も重要な点が、私たちの社会で生きる多くの人々が日常的に経験している、「女性として公共の場にいるとき、自由と安心を感じられない」という非常に現実的な脅威に取り組んでいることです。健全で包括的な社会には、誰もが自由に参加し、移動し、表現し、ありのままの服装や振る舞いができ、常に他の利用者に敬意を払われり、誰もがアクセスできる健全に機能する公共空間が不可欠です。ジェンダー・バイオレンス含むあらゆる暴力は、すべての人のための公共空間の機能を妨げているのです。

    メッセージの影響を最大化するために、このプロジェクトがとっている学際的なアプローチを高く評価します。結果としてアートとデザインの分野が融合され、プロジェクトの不可欠な部分である製品開発よりも、むしろ問題意識を高めるための過程をデザインすることに焦点があてられています。このアプローチにより、より多くの人々にメッセージを伝えることができるようになりました。アートとデザイン思考が互いに支え合い、デザインはメッセージを想像し、共感するための道具となっています。

    このプロジェクトが互いに影響し合う3つの異なる部分(ストーリーテリング、インタラクティブデザイン、パブリック・パフォーマティブ・アクション)で構成されていることは、プロジェクトを重層化することにつながり、結果として影響を高めることにつながっています。このプロジェクトの視覚的言語は、Zapatista(ザパティスタ)やPussy Riot(プッシー・ライオット)のような活動家のそれを彷彿とさせるかもしれません。電気織物を使うことで、このプロジェクトは痛みが「どこに」あるのかを非常に直接的かつ触知的に描き出しているのです。洋裁のような女性的な技術を使うことでプロジェクトに文化遺産が含まれ、洋裁職人が参加することでプロジェクトがより包括的で民主的なものになります。

    「Public Voice」が特異である理由は、公共でのアクションやパフォーマンスの観点にあります。アーティストやデザイナーは、公共の場で観客や傍観者と直接コミュニケーションをとることができます。デザインスタジオでは、公共空間とは異なるルールが適用されます。そこでは、アーティストやデザイナーは自分自身が無防備であることができ、そうすることを恐れません。ここでは、公共空間におけるパフォーマティブな介入の強みが、私たちの一般的なデザイン思考に革新的な層を足しているのです。

  • Kampire Bahana
    DJ / Nyege Nyege collective

    抗議活動の広がり、そしてその限界が話題となっている今、「Public Voice」は、女性が何世紀にもわたって声を上げてきた問題を取り上げ、新しい技術を応用しています。ジェンダーに基づく暴力、あるいは親密なパートナーからの暴力が、多くの社会―そしてその社会の富める者も貧しき者も含むあらゆる階層に影響を与えるとき、最も影響を受ける人々の声はどのように集約できるのでしょうか。人々がある問題に広く抗議するにも拘らずほとんど変化がない場合、どのようにその抗議を増幅させるのでしょうか。リーダーが聞く耳を持たないとき、私たちはどのように戦術を変えるのでしょうか?これらは、「Public Voice」が色彩とエネルギー、そしてユーモアをもって取り組もうとしている問題のほんの一部に過ぎません。Arundhati Roy(アルンダティ・ロイ)が言うように、「『声なき声』などというものは、実際には存在しない。あるのは、意図的に沈黙させられた者、あるいは、できれば聞かれたくない者だけ」なのです。「Public Voice」は、多様な声と多様な物語を、オンライン上、布、音声、路上など、さまざまな方法で、無視できない形で展示します。