これは植物の開花を題材としたパタパタ時計です。
植物の開花という小さな変化に注目することで、時間の捉え方の多様性を提示するために制作しました。
さまざまな時間の過ごし方を知ることで、現代の時間という概念とともに生きる全ての人に新しい視点を与えられたらと思います。
正確な時刻や暦は日常生活において必要です。時代を追うごとに、高精度なものほどいいという価値観が強くなってきました。 一方で、場所や季節による環境変化の違いは無視され、均質化しています。そこで、 人類が発展させてきた「時間を精密に測定する技術」の影にある、自然環境の一年の流れに注目し、 グラフィカルに表現しました。
題材は「アサガオ」「ハス」「マツヨイグサ」の3種類の花の開花です。これらは「一日花」と呼ばれる、1日のうちに花が咲き、しぼむ花です。それぞれの花は決まった時刻で咲く概日リズム(生物時計)を持っています。題材にした3種類はそれぞれ、「朝」「昼」「夜」に咲く花です。これらを並べると、大まかな時刻を知ることができます。それを「花時計」といいます。
この時計は1日を60枚に分け、パタパタとめくれることで時間を表します。めくれるスピードも均一ではなく、「不定時法」を採用しています。
不定時法とは、一日を昼と夜に分けそれぞれを等分し、一単位を「一刻」とした時間の表し方です。昼と夜で一刻の長さが異なり、季節によって変化します。Arduinoのライブラリでその日の日の出、日の入りを取得し、めくれるスピードを変化させています。
明治維新によって消えてしまった時間の表し方を、UVプリンターとレーザーカッター、3Dプリンターといった現代の技術によって復活させました。
松田あやの、石田花恋
Japan
松田あやの
神奈川県出身。2021年9月慶應義塾大学総合政策学部卒業。鳴川肇研究室に所属し、家具設計やインフォグラフィックの製作を行う。
石田花恋
神奈川県出身。慶應義塾大学総合政策学部在学中。鳴川肇研究室所属。大学入学後に3Dプリントに出会い、デジタルファブリケーションを始める。