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視覚的な意味や形が音になる「emoglass」プロトタイプ誕生
Mar.28, 2017
By YouFab Global Creative Awards 2016 実行委員会
YouFab2016で新たに設けられたヤマハ株式会社による特別賞、「ヤマハ賞」。ヤマハ賞には応募期間中(8月~10月末)の3ヶ月で世界27ヵ国から147作品がエントリー。ヤマハの目指す共創のコンセプトをベースに、独自の視点で表現された作品が集まりました。ヤマハ賞審査員による審査の結果、グランプリも受賞したOTON GLASSがヤマハ賞に選ばれました。
2017年3月8日から3月19日まで開催された「YouFab受賞作品展示会」では、ヤマハ賞テーマ「エモーションのスイッチ」をベースに、ヤマハ社員とOTON GLASSが開発したプロトタイプ「emoglass」が展示されました。emoglassの誕生ストーリーと展示の様子をお伝えします。
問題解決型デバイス「OTON GLASS」の新たな側面に注目。視覚と聴覚で創り出す新しい体験
OTON GLASS開発者の島影さん(左)とOTON GLASSを実際に試す、ヤマハ賞審査員の川田学さん(右)
自分や誰かの心を動かし、感情を揺らすきっかけを「エモーションのスイッチ」と総称できるならば、そのスイッチとは一体どのようなものかをクリエイターに問いかけた「ヤマハ賞」。世界各地から集まった147作品の応募作品の中から選ばれたのが、視覚的な文字情報を音声に変換することで「読む」行為をサポートするスマートグラス「OTON GLASS」でした。
ヤマハ賞審査員の川田学さんは OTON GLASS を選んだ理由を次のように述べています。
”OTON GLASSは大変誠実に、突然の病で文字解読が困難になった自分の”お父ん”の為に「その人が見ている文字を認識し、自動で声に変換してくれるメガネ」を開発しています。
「エモーションのスイッチ」を強調する箇所は無いものの、読みにくい文字に目を凝らしているとき、自分の耳だけに声で語りかけられた被験者達の表情は輝いており、視覚と聴覚のミックスによる新たな体験とそれがもたらす心の動きに、我々は非常に大きな可能性を感じました。”
OTON GLASSはもともと課題解決型のプロダクトとして開発されたもの。しかし、そのアイデアの源泉や制作チームが込めた想い、そして視覚と聴覚で創り出す新しい体験に、ヤマハのプロジェクトメンバーの「エモーションのスイッチ」が押されました。
視覚的な意味や形が「音」にかわる。世界中の日常がもっと楽しくなる
受賞が決まってから3ヶ月の間に、OTON GLASSとヤマハ開発チームのコラボレーションが始まりました。そして出来上がったのが「emoglass」のプロトタイプです。ユーザーがルーペを覗き込むと、emoglassが視覚的なイミやカタチや雰囲気を「音」に変換してくれます。コンセプトビデオがこちら。
ヤマハ賞審査員の川田学さんとヤマハ開発チームからのメッセージ
“emoglassは「楽譜を見たらドレミで歌ってくれる」でしょうし「しっかり太い文字は威圧的に、小さな字は囁くように」情緒的に語ってくれるかもしれません。「大真面目な新聞記事を落語家のように楽しく聴かせてくれる」ようになるかもしれません。「漫画の台詞はどうなるのだろう」…と開発陣の想像は膨らんでいます。emoglassが生む視覚と聴覚のミックスによる新たな体験が、世界中の日常をもっと楽しくするエモーションのスイッチになってほしいと願っています”
視覚と聴覚を横断する「エモーションのスイッチ」を、2000人が体感。
3月8日から3月19日まで東京のヒカリエで行われた展示では、訪れた2000人超の方たちが実際にプロトタイプで視覚と聴覚による新しい体験を体感しました。
壁に描かれた「だいきらい」と「だいすき」という2つの言葉。よく見てみると、音楽記号がついていたり、絵文字がついていたり、漫画のセリフのように装飾が施されていたり……。文字も漢字だったり、カタカナだったり、ローマ字だったり、同じ言葉でも、こんなにいろいろな書き方があることに驚かされます。
ひとつひとつの言葉にルーペを当てると、その言葉が音声になって読み上げられます。外国人風のちょっと巻き舌な「だいきららららぁーい」があったり、言葉では「大嫌い」といっているのに、声音では大好きという気持ちがにじみ出る”胸キュン”なものまで。視覚上での意味や雰囲気が、音となって返ってくる楽しさに、訪れた人たちは心を掴まれていました。くすっと笑わせたり、何かを思い出させたり、相手の予想を飄々と裏切ってみたり。emoglassを持ったユーザーの心をつかむような動かす空間は展示期間中も大人気でした。
草の根的な活動でプロダクト開発を続ける島影さんを中心とするOTON GLASSチームと日本を代表する大会社のひとつ、ヤマハ株式会社。規模、組織体制、歴史も全く異なる二つのものづくり集団による、新しい一歩が刻まれました。今後の発展をYouFabアワードも応援していきます。
(文:YouFab2016 事務局 鈴木真理子)