Neurotransmitter 3000
By DANIELDEBRUIN
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2017年8月1日-10月31日まで募集が行われた
YouFab Global Creative Awards 2017 の受賞作品を発表!
26カ国、総計227作より選ばれた、20の受賞作をご覧ください。
受賞作展示会: 2018年2月9日 - 2月23日 GOOD DESIGN MARUNOUCHI (東京)
Regenerative Reliquary(再生可能な聖遺物)は、3Dプリンターとヒトの幹細胞で作られた、人間の手の骨を再現した作品です。無生物の物体から生命の可能性を描き出した本作は、生命の神秘に対して疑問を投げかけます。
Minima | Maxima(最小値|最大値)はわずか6mmの薄い骨組みで作られた、13m以上の高さに及ぶ建築です。無秩序に広がる複曲面によって成り立つ本作品は、自立しており、柱や梁を必要としません。
イギリス
The Third Thumbは、3Dプリンターで作られた3本目の親指です。両足に装着したフットコントローラーを使って操作します。人工装具を身体の延長として再定義することを目指しています。ハンディキャップは「治す」から、身体能力を「伸ばす」ことと受け止められるでしょう。
日本
Spring-Penは、ソフトな書き心地のスタイラスペンです。ペンにバネ構造を組み込むことにより、弾力性が生まれブラシのような感覚が味わえます。タブレット端末の普及により不可欠となったスタイラスペンを、自分好みに柔らかさを調整できる方法を考えました。
イギリス
3D Weaverは、立体構造を織るために設計された織機です。織のプロセスで用いられる縦糸を固定式の縦糸チューブに置き換え、横糸はノズルを通して各チューブの周りに絡んでいきます。機械的特性をいかしたプログラムを入力できるため、用途に合わせて新感覚の織物を作ることができます。
2014年から始まったYouFabの審査会は
「Fabとは何か」そのものが問い直されてきた歴史でもあります。
これまでのYouFabの審査では、どちらかといえば「~ではない」という【否定】をもって、
Fabが、分かりやすい、安易な方向に絡めとられることを防ぎ、
より批評的、実験的な領域を確保すべく、導きがされてきたと思います。
今年のYouFabのテーマが「Rock It!」という呼びかけだったのも、
「製品をゴールとしたプロトタイピングだけがFabなのではない」
ということがひとつの理由です。
そして今年、審査会では「~ではない」という【否定】ではなく、
逆に、Fabとは「~である」というポイントが探索された結果、
【肯定】すべきことがひとつ明確になりました。
それは「見たことのないような新しい組み合わせのコラボレーション」です。
例えば、グランプリを受賞したAmy Karleさんの『Regenerative Reliquary』にみられる
アートとバイオ、エンジニアリングの結合。
異質な背景をもった人と人とが、意見をぶつけあい、真剣に議論し、
スキルを出し合ってつくりあげたものしか、この時代においては強度を生み出さない。
そのことは他の受賞作品からも、明らかでした。
この2017年をひとつの基点として、
『Fabとは「~である」』の議論へ振り子が振れ始めた、と感じています。
とはいえ、まだ「ひとつめ」です。
私たちが、Fabと呼んでいるモノゴトにおいて、
絶対に欠かせない根源的な要素は、いったい何でしょうか?
そのことを問い続けながら、
今後もYouFabはラディカルな「つくりかたの実験」を披露する場として、
進んでいくことができるのではないでしょうか。
YouFab Global Creative Awards 2017審査委員長 田中浩也、
審査員一同
慶應義塾大学環境情報学部教授
SFCソーシャルファブリケーションラボ代表
慶應義塾大学環境情報学部教授
SFCソーシャルファブリケーションラボ代表
東アジア初のファブラボを2011年に鎌倉に設立したことを基点に、デジタルファブリケーションの可能性を「技術」と「社会」の両面から研究。近年は、総務省はじめ政府委員を多数歴任し、地方創生等の政策提言にもかかわっている。慶應義塾大学では「ファブキャンパス委員会」の委員長を務める(http://fabcampus.sfc.keio.ac.jp)。専門は、3D-CAD/CAE/CAMおよびデザインエンジニアリング。博士(工学)。Fab Lab Japan Founder、および Fab Lab Asia Foundationボードメンバー。
Terreform ONE 共同創設者
ニューヨーク大学准教授
Terreform ONE 共同創設者
ニューヨーク大学准教授
フランク・ゲーリーおよびI.M.ペイの事務所の建築家として活躍後、フルブライト奨学金やTED、およびMITのMartin Society for Sustainabilityのフェローシップを獲得。WIRED誌によって「スマートリスト」に選ばれるとともに、ローリングストーン誌によって「アメリカを変革している100人の人々」に選ばれた。また、アーキテクトR&D賞、国際建築賞第1位、MITスマートシティカーによるTime Magazineの最優秀発明賞など数多くの賞を受賞。共著に「XXL-XS:New Directions in Ecological Design」、「Super Cells:Building with Biology」などがある。彼の作品は、ニューヨーク近代美術館およびベニス・ビエンナーレで展示されている。マサチューセッツ工科大学博士号、コロンビア大学建築学修士号、ハーバード大学都市計画学修士号修了。
デザイナー
Haute Ecole des Arts du Rhin 教授
デザイナー
Haute Ecole des Arts du Rhin 教授
フランスのFab Lab AV.labの共同創設者、Haute Ecole des Arts du Rhin (HEAR)教授。デザイナーアトリエBAH共同体内で展開される彼女の作品は、職人の技の領域とデジタル工作技術の融合の可能性を探究している。
京都工芸繊維大学 KYOTO Design Lab. 特任教授
京都工芸繊維大学 KYOTO Design Lab. 特任教授
1984年から1999年まで、ジャパンタイムズ紙のアートコラムニスト。2000年から2014年まで、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートのヘレン・ハムリン研究センターにおいて、影響力のある「Challenge Workshops」プログラムを実施するなど、インクルーシブデザインに関する第一人者として、技術・知識の共有を目的としたワークショップを多数企画・運営。2010年には、「デザインウィーク」が実施する「デザインの世界に最も影響を与えた50人」に選ばれた。2014年5月には、京都工芸繊維大学KYOTO Design Lab-デザインの革新を目指す分野横断のデザインセンター-立上げ担当の特任教授に就任。最近のプロジェクトで科学とデザインを融合させたものが2016年オランダデザイン賞を受賞。
アーティスト
BCL 共同創設者 、Poiesis Labs CEO
アーティスト
BCL 共同創設者 、Poiesis Labs CEO
2001年ロンドンのセントラル・セント・マーチンズ卒業、2003年ロイヤル・カレッジ・オブ・アート修了。2004年ゲオアグ・トレメルとアーティスティック・リサーチ・フレームワーク「bcl」を結成。以後、特にバイオテクノロジーの発展が与える社会へのインパクトや、水環境問題について焦点を当てている。また、それらにクリティカルに介し、閉ざされたテクノロジーを人々に開いていくことをミッションとしている。ポイエーシスラボ代表。Google ATAP Project Jacquard テキスタイル開発兼クリエイティブイノベーションリード。