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Transformative Appetite

Transformative Appetite

Tangible Media Group, MIT Media Lab

Category : STUDENT
By Tangible Media Group, MIT Media Lab (アメリカ)

作品について

Transformative Appetite (変形自在な食欲) は、平面状のフィルムが水を加えることによって立体化する食品です。フィルムは、プロテイン、食物繊維、でんぷんなどの身近な食品成分からできています。水を加えるまでは平面であるため、輸送費や保管場所を大幅に減らすことができます。ユーザーは、シミュレーション・プラットフォーム上で食品の形をカスタマイズし、3Dプリントして自分で作ったデザインを作ることができます。私たちは、シェフの協力を得ることで、変形自在な食品をたくさん作りました。この研究によって、食事の経験が豊かになり、高齢化に伴うニーズに応えることができるでしょう。

Project TA: http://tangible.media.mit.edu/project/transformative-appetite/
TMG: http://tangible.media.mit.edu
Media Lab: https://www.media.mit.edu

制作の動機

現代社会において地元産の食材は少なく、都市部の食材は遠隔地で生産されたものが輸送されて顧客に届けられます。しかし、この過程で温室効果ガスが放出され、大気を汚染しています。

 

本作は映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の中の、レイという女性が粉を水に入れてパンを作るシーンに着想を得ています。私たちが提案する平面状の食品は、一緒に輸送される空気量を減らし、大気汚染を緩和できる可能性があります。例えば、従来のマカロニパスタでは、包装物の67.3%以上は空気ですが、もしパスタを平面にし、調理で3Dに変形することが可能になれば、輸送中のスペースや保管場所の半分以上を節約できることになります。

 

制作方法

変形する食品を開発するために、材料ベースの設計を行い、ハイブリッド製造を作り上げ、性能シミュレーションを実施しました。高度な材料加工法を使い、二層の可食性フィルムを作成し、カスタマイズされた3Dプリンタを使用して、形状を変化させるパターンを作成しました。 テクスチャ分析器と走査型電子顕微鏡で食品の質感を作り、ソフトウェア「ABAQUS」を用いた有限要素(FE)シミュレーションで、フィルムの性能を予測しました。 これらの可食性フィルムの設計を容易にし、形状変換を予測するために、JavaScript、Rhinoceros、およびGrasshopperを使用したデジタルマテリアルデザインとシミュレーションインターフェイスを構築しました。

使用方法

このプロジェクトでは、3つの技術(平面から立体を生み出す畳み方 、水和誘発包装、温度誘発自動分裂)を用いて、形、触感、素材とのインタラクションを表現しています。実際にキッチンで様々な料理を作り、素材のインタラクションデザインを通じた未来の食事体験を実演しました。

使用したツール

3D printer, Cutting machine, 3D Modeling and Design Software, 2D Design and 2D CAD Software

MEMBER メンバー

Designer
Dr. Wen Wang
Designer
Dr. Lining Yao
Designer
Mr. Chin-Yi Cheng
Designer
Dr. Teng Zhang
Designer
Mr. Daniel Levine
Designer
Prof. Hiroshi Ishii
Producer
Dr. Lining Yao
Producer
Michael Indresano Production
Sound Composer
Fragmento Universo

JUDGES, COMMENTS

  • 福原志保
    アーティスト
    BCL 共同創設者 、Poiesis Labs CEO

    通常、3Dプリンティングは大量生産するための方法ではありませんが、この作品は3Dプリンター自体の可能性を拡張しているのではないかと思います。3Dだけじゃなく時間軸を前提とした4D(時間)で制作されている点もすごく面白いですね。エンジニアリングの視点からも素晴らしいと思います。プレゼンテーションの観点からも、綺麗な動画におどろきました。ただし、大量生産に適用できるかは少し気になります。都市における食物の消費と運輸に関する問題や高齢者問題など、社会的な事象と接続するために、今後どのような進展を見せるのか期待しています。