Category : MACHINES
By Diego Pinochet(チリ)
『Making Gestures』は、今日の建築デザイン分野で必須とされている、質量計相的モデルから脱却し、コンピュターでのものづくりのインタラクションを提案します。ユーザー(建築家)は、人工知能を備えたデジタル工作機械を、ジェスチャーで操作し、あいまいさや予想できないものを受け入れることで、デザインとファブリケーションの過程をより深く体験することになります。
<Machineについて>
本作品は、ユーザー一人一人に対応できるよう、学習アルゴリズムを使って制御される5軸CNCマシンです。ジェスチャーを使用し、感覚や身体と、デザインツールのリアルタイムなインタラクションが行われます。ユーザーの動きに合わせ、リアルタイムでデザインや製作を行えるサイバネティックスシステムです。
MAKING_GESTURES_DPINOCHET from DIGIFAB on Vimeo.
Luke Yeung
Luke Yeung
本作は、新しいツールを作ることの、素晴らしさを教えてくれるプロジェクトだ。ユーザーの創造性を上げるツールを作るために、クリエイターはアート分野(特に彫刻と手工芸)を研究し、コンピューターと人間のインタラクションデザインに挑んだ。本作では、低密度フォームを使用しているが、他の素材を使用することも難しくないと思う。この後は、木や石などが使われるのではないだろうか。この観点から考えると、本作はデザイン・製造・建築分野で将来的に大きな影響を与える可能性があるツールである。
齋藤 精一
齋藤 精一
3Dデザインはいくら安価で簡単になったとはいえ、やはり多くの人にとってはまだまだ難しいと思います。この作品では、そんなモノを作るプロセスを直感的かつ簡単に作るための手法のデザインをしているところに感銘を受けました。もっと様々な方法で多くの人に新しいモノづくりのツールを使ってもらえるためのソフトウェア等の進化も、今後注目しています。
四方幸子
四方幸子
映像では、まるで気功のように、なだらかな動作で発泡スチロールがカットされていく。動きを発する人物の表情は瞑想的ですらある。このシステムは、データ入力の際、排除されるべきはずの直感性や曖昧性を積極的に取り込むことでインタラクティブな造形生成を可能としている。AIが介在するものの、各人異なる身体性が生かされ、造形物はノイズを含んだものになる。彫刻や建築、パフォーマンスへと応用することで、これまでにない形態を可能にしうるが、最も興味深いのが予測不可能性と制御可能性とのあやういバランスであるだろう。未知の領域に踏み込むプレイフルでクレイジーなハッキング精神が発揮されている。
田中浩也
田中浩也
活動を始めて10年となるFabLabでは、現在「Fab2.0」への急速な移行が起こっている。簡単に言えば、Fab1.0は市販のデジタル工作機械(レーザーカッターや3Dプリンタなど)を使ってものをつくるだけだったが、それではどうしても機械があらかじめ備えている「制約(限界)」を抜け出せられない。そこで、既存のデジタル工作機械そのものをハックしたり、新たにオリジナルの機械をつくったりして、その枠を飛び出していこうという活動全般がFab2.0である。何百年も前から、職人や芸術家は、作品をつくるだけでなく、自らの表現に使う道具や素材そのものも自分で改良してきた。Fabでもまさにいまそれが起こっていると考えればよいだろう。自分で試行錯誤しながら既存の技術を寄せ集め、自分にぴったりの「マシン」を作ろうとするこのプロジェクトは、現在世界規模で進行しつつある「Fab2.0」の象徴であるように思えた。
Luki Huber
Luki Huber
このコンピューターばかりのバーチャルな時代には手を動かす作業のことを忘れがちです。しかし、人は手で物に触れれば、物を理解することができます。手でプロトタイプを作り続けることが非常に重要な理由がこの点なのです。本作では、手作業とバーチャルとの作業を組み合わせており、非常に興味深いアプローチだと思います。人がオーケストラの指揮者のように機械を操作する、素晴らしい作品です。
Quake Hsu
Quake Hsu
本作は、おそらく全てのFabberが夢見る素晴らしいマシンだ。作者は、建築デザイン分野での新しいツールとして本作品を開発したが、この技術は多くの分野に応用できると思う。昨今、デザイナーはアイデアを作ったり発表する時に、コンピューターを使用している。CADの便利さと正確さは、デザイナーのミスを防ぐが、それによりデザイン中に起こる楽しい要素であるはずの、不確実性も取り除いてしまう。本作品により、クリエイターは驚きに満ちた時代に戻り、もう一度自分の身体と筋肉を使ってものづくりを楽しめると思う。