Category : BEYOND
By Shih Wei Chieh(台湾)
従来のレーザープロジェクターをハックし、布に光学方式でプリントができる染色プリンター。様々な大きさの布や物に、単色でプリントすることができる『laser dye』の面白い点は、手染めとデジタルプリントの中間の染色法だということ。手作りの効果を残したままで、デジタルファブリケーションを使った染色ができる。たくさんの人が気軽に染色を行うことができると同時に、ファッションデザイナーに向けては、1回でパターン、プリント、染めを行うことを可能にする。
この染色法は、古い写真製版の一つである青写真法にインスピレーションを得た。青写真法は、光発色性の染色法であり、布や立体物を染めることができる。『laser dye』でプリントする柄はリアルタイムで変えることが可能で、大きなプリントも自宅で安く行える。柄をクリエイティブに作りたいときや、ファッション分野、パフォーマンスアート分野などで利用できる。
レーザーの動きは、シリアル通信のかわりに音声信号でコントロールし、音とビジュアルを関係づけた。レーザーの動きが音と完全に一致するので、音に基づいた柄を作ったり、柄を読み解き音楽に戻すことが可能である。
四方幸子
四方幸子
レーザープロジェクターをハックして、色染めができるプリンタにするという発想は秀逸。通常、横移動により描かれるプリンタの方法から逸脱し、「青写真」という物理的に像を焼き付ける方法をとることで、ローコストでサイズを問わず、異なるテクスチャーの布や立体にまでプリントが可能。映像の投影方法によって、実空間で起きる現象をフレキシブルに取り込むことができ、「手染めとデジタルプリントのハイブリッド」(作者)が実現している。ファッションやアートでの活用に加え、映像と音との連動や変換によってリアルタイムのパフォーマンスにも応用可能。色が青色に限定されてしまうため、プリント自体の魅力は弱い。