Category : ART
By Jon McTaggart(イスラエル)
本プロジェクトは、工芸や原材料といった領域をデジタルファブリケーションの文脈で模索するプロジェクトである。古くからある粘土細工からインスピレーションを得て製作した。
YASKAWA製「MH250」産業ロボットを、新しいタイプの3Dプリンターとして使用。食品安全樹脂を砂の中にスプレーし、ほとんど一瞬で砂を接着できるようにした。これにより、サポート材を使わずに高速に3Dプリントができ、砂を使った大きな作品を作ることが可能になった。
本プロジェクトで使った砂は、工房から1キロほどのところで採取したものだ。工芸分野での作品づくりでは、その土地の材料を使うことに倣っている。壺の形は、古くからある粘土整形の技術「コイリング」を元にした。ひとつの軌跡だけで壺を作ることができる技術であり、ロボットが切れ目のない軌跡で動くのと似ている。ロボットと食品安全樹脂を使うことで、どんな砂でも原料にしてプリント出来る、その土地に根ざしたものを作ることを可能にした。
まず最初に、コイル状の3Dフォームを作ることができるカスタムソフトウェアを開発、その3Dフォームを機械の制御コードに変換した。その後、樹脂を射出できるノズルを作り、ロボットアームに取り付けた。最後に、様々な種類の砂を接着して、理想的な形を作れるかの実験を行った。
Artifacts from Jon McTaggart on Vimeo.
Quake Hsu
Quake Hsu
新しい技術の進歩とともに、古い技術が時代遅れになり忘れられてしまうことはよくある。本作品は、新しい技術が、失われてしまった美しい伝統を復活できると教えてくれる作品だ。単にデジタルツールを操作するというだけにはとどまらない、作者の熱意を感じた。本作には、古さと新しさ、継承と発明、工芸と機械、過去の必需品と現代のアートが体現されており、ものづくりの複雑さを美しく表現した作品だと思う。